今回も谷川俊太郎の「卒業」という詩にちょっと感動したから
ここに載せておこうと思う。
「卒業」 谷川俊太郎
ひろげたままじゃ持ちにくいから
きみはそれをまるめてしまう
まるめただけじゃつまらないから
きみはそれをのぞいてみる
小さな丸い穴のむこう
笑っているいじめっ子
知らんかおの女の子
光っている先生のはげあたま
まわっている春の太陽
そしてそれらのもっとむこう
きみは見る
星雲のようにこんとんとして
しかもまぶしいもの
教科書には決してのっていず
蛍の光で照らしても
窓の雪ですかしてみても
正体をあらわさない
そのくせきみをどこまでも
いざなうもの
卒業証書の望遠鏡でのぞく
きみの未来
最後の2連がすごくよくって、いい詩だと思う。
「証書を丸める」からの発展の仕方が秀逸。
気取った高貴な詩じゃなくって、等身大の詩で味わい深い。
さてさて、今日は卒業式。
初めて教師(講師だけど)として参加する卒業式は
最低最悪の卒業式となりました・・・。(笑)
自分が1年間だけやけど関わってきた生徒たちの
巣立ちの時を厳かに行ってあげたかったのにね。
でも、みんないい顔で出て行ったし、
アルバムにも何人かにコメントした。
そのコメントが以下の歌詞。
自分のお気に入りの歌詞のひとつ。
The long and winding road
長く曲がりくねった道
That leads to your door
それは、君のもとに向かう道。
will never disappear
決して消えることがない
I've seen that road before
前も見たことのあるこの道を
It always leads me here
行けば必ずここに辿りつく。
Leads me to your door
君のもとに辿りつく。
- the Beatles "The Long And Winding Road"
元の曲はこれです。(You Tubeより)
この歌詞がすごく好きで、
中学校の時の卒業式で使われてめちゃ感動した記憶がある。
(ずいぶんマセたガキんちょだったなぁ・・・笑)
この歌詞のme とyourを、presentとfutureに変えると
すごく意味のある歌詞に変わる。presentは今、futureは未来。
んで、うちの高校までの道のりが、これまたThe Long And Winding Road。
「あ、上手に意味が重なった!」て認識したのは、つい5分前・・・。(笑)
この日記を書きながら、そう思った次第です。(←オフレコ)
この曲を選んでるあたり、自分で「センスあるなぁ~」って思う。(笑)
それで、the Beatlesが解散直前で作ったことを考えれば、これもまた意味深。
でも、これって理解できるのビートルズマニアぐらいだよね。(笑)
そんな裏話はどうでもよく
自分が息子・娘みたくかわいがってきた生徒が巣立っていくというのは
一抹のさみしさもあるし、また親心みたいなのもある。
毎日怒られながらも、会いに来てたやつ
本当は話がしたいのに、「ついてきただけ」って顔してるやつ
授業中に自分が目立たんと気がすまんお調子者
喧嘩して泣きながら話をしにきたやつ
他の先生の愚痴を言いに来るやつ
顔を合わせば、常に勝負を挑んでくるやつ
1年でずいぶん顔つきが大人になったやつ
最後まで迷惑をかけたバカもの
ずーっといじられ続けた残念なやつ
・
・
・
みんな、呆れるぐらいいいやつだと思う。
どっかのクラスの何かの授業中、
「1個、君らのことを心底尊敬してる部分がある!」
って話をしたことがある。
この子たちのほとんどは就職して社会にでる。
10代の最後、まだまだ遊びたいはずのこの子たちが
厳しい社会に出て仕事をしていくなんて、本当に尊敬する。
自分にはそんなことこれっぽっちも思わなかったから、
なんだか彼らを尊敬してしまう。いやぁ、すごいよ。
「社会」って厳しいことだらけ。
彼らにはマジできつい向かい風で、挫折しちゃう時だってあるはず。
何せ、会社って褒めてくれる人はほとんどいない。
みーんな怒ってくる人ばっかり。
自分は会社で働いてきた人間だからその辺よくわかる。
んでもって、耐えることをよくわかってない子がほとんどだから、
ある日突然「やーめた」って帰ってこないかすごく心配。
そん時は、厳しく優しく叱ってやろうと思う。
2年後に、「先生ー!!」ってひょっこりやってきたら、
「おし、飲みに行くぞ!」って酒でも呑み交わしてやりたい。
「お前変わってねーな!」とか言いながら。
何も大学に行くことだけが人生じゃないと思う。
それは今の高校に勤務してから気づかされた。
この歳で社会人となり、日本を微力でも支えている。
こんな立派なことってあるやろか?
逆に自分はどうか?
今の自分は、彼らの成長の度合いに対して
比例して成長を続けているのだろうか?
一生懸命が「自分なりの一生懸命」じゃないか?
きっとそうだ。自分は間違いなく、頑張っていない。
誰の目からも「一生懸命」でありたいし、
今日、巣立っていった卒業生にとっても
今また自分の未来へまっしぐらの在校生にとっても
はたまた、これから出会う未来の生徒にとっても
いつまでも自慢してもらえるような教師であり続けなければならない。
うん、オレ、もっと頑張ろう。
君らの卒業式でもあり、
実はオレの入学式でもあったのかも知れやん。
昨日は雨、明日も予報では雨。
今日だけ晴れた、この偶然の日に。
誰も見ない、送る言葉を記す。
2012年3月1日(木)
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