2007年10月1日月曜日

あの空の色

朝、夢から目が覚めると
すべてのものがモノクロに見えた。

枕には濡れたあと。
目には少し涙が溜まっている。
きっと、夢で何か悲しい出来事があったのかもしれない。
僕はどんな夢だったか思い出そうと試みても
全く思い出すことが出来なかった。

背筋を伸ばし起き上がると
初めにカーテンを開けた。
いつもは眩しさで目を手で覆うぐらいなのに
今日はなぜか眩しくなかった。
透き通るような青空も灰色にしか見えなかった。
いつかもこんなことがあった。


でも、どんなことがあったのかは分からない。


涙を拭いて目を擦りながら
何事もなかったのように居間に向った。

焦げかけのトーストに甘いジャム、コーヒーの匂い、料理の音
熱いはずのスープ

いつもと変わらないはずなのに、何だか妙な感じがした。
自分の心の中の住人がいなくなっていた。
感情が何もかもなくなっていた。だからモノクロなのか・・・。
嬉しいのか、悲しいのか、痛いのか、気持ちいいのか
分かるようでわからなかった。

それがなぜか分からない。
ただ、悲しい記憶だけ残っていた。
僕はその記憶は思い出したくなかった。
それでも、無意識に思い出しては涙した。
だから思い出したくなかった。

あの日の空は何色だったんだろう。

僕の記憶を整理しても、はっきりしなかった。
あの日の記憶は人生で1番悲しいものなのは間違いない。


(続く)

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